


倉敷市玉島の写真家、小松和夫さんの写真集の装丁・デザインを承りました。
小松さんは中学生の頃から84歳(!)の現在まで、ふるさと玉島を写真に残し続けている方です。
何十年ものアーカイブの中から数百枚の写真を預かり選別していくわけですが、如何せん昔の写真は既にフィルムもなくてあるのは過去にデータ化したもののみ。近年の写真もカメラも違えば色味や比率も違う。一冊の中で統一感を持たせるにはどうするかをかなり考えました。
そしてタイトルが「追憶の町 玉島」に決まった瞬間、「全てモノクロにしてしまおう」という結論にたどり着きました。
数十年前の景色も昨日の出来事も、この写真集を読む段階では全てが過去のものになっています。さらに何十年も後に初めてページを捲る人もいるかもしれない。その時に頭の中の時代感が交錯するような仕掛けにしたかったのです。
しかしながら、カラーデータを単純にモノクロ化するのでは、階調表現がのっぺりしてしまう。プリントではなく印刷なので尚更です。
そこで岡山県内で美術印刷に造詣の深い中野コロタイプさんにダブルトーンでの印刷をお願いしました。熟練の技でカラー画像を一枚一枚調整していただき見応えのある写真集になりました。
また発行元である遊美工房さんのご厚意のお陰で、仕様・用紙・印刷に妥協することなく、玉島の歴史を背負うに値する品質の一冊に仕上がりました。
テキスト:小松和夫、安原早苗
印刷・製本:株式会社 中野コロタイプ
発行:遊美工房
仕様:B5変形(210×182) 糸かがり並製本/小口折り表紙 箔押し(艶消しシルバー)/本文72P
用紙:表紙=サガンGA あい 170kg/見返し=NTラシャ グレー50 100kg/本文=b7トラネクスト 99kg
PART
Art Direction, Graphic Design
CLIENT TYPE
作家
DATE
2025/04/21