芹沢銈介美術館で仮面をたくさん観てきました

2019.01.13


芹沢銈介美術館で仮面をたくさん観てきました

2019.01.13

静岡で芹沢銈介美術館の企画展 「芹沢銈介の収集 −世界の仮面と衣装−」に行ってきました。

 大変失礼な話ですが、芹沢銈介という人物が染織家でデザイナーとして装丁なども多く手掛けられていた超大御所であることも、展示の内容も全く予備知識のないのに勧められるがまま、突然訪れてしまいましたが、不覚にもとてつもなく面白かったのです。 特に世界中から収集された仮面たちが興味深かったです。

 永い年月を経て形成されてきた民族や地域ごとの文化風習、それぞれの人種固有の骨格や顔つき、その土地に生きる生き物などが反映されていて、当たり前ですが一つとして似た仮面がない。

仮に自分が何も資料などを見ずに「顔」を描こうとすると多分10個目くらいから同じような顔つきになってしまうだろうなと軽く落胆しました。

また、それぞれの仮面を作った人々も「この祭り用の仮面といえばこの仮面」という風に伝えられてきているだろうから、特に他の仮面の存在を気にする理由も必要なかったんだろうなと思いました。

それが芹沢銈介という一人の人物によって収集され一堂に会することになり、アプローチの違う様々な仮面をフラットに見比べられる。いわば仮面の開国、仮面がグローバル化を迫られているようで実に興味深かったです。

そして一通り見終わって考えさせられたのは「個性とはいったい何だろうか」ということでした。

それぞれの仮面を擁する文化の中では、その形状や役割りはずっと変わらず、いたって普通な「無個性」な仮面だった。それがある日、比較される舞台が変わる(ある種のグローバル化)ことで、特有の光を放ちはじめ「個性的」だと認識される。

逆に、秘境の原住民の村に、文明社会ではとてもアイコニックなミッキーマウスのお面を持っていけば「個性的だ」として奇異の眼差しで出迎えられる。

ローカルの中で無個性だったものがグローバルでは個性となり得るし、 グローバルの中で無個性だったものがローカルでは個性になり得るんだなと気づかせられました。

デザインをはじめものづくり全般に当てはまる事ですが「個性を出したい」「差別化したい」と表面的に手を加えていくと、ブラッシュアップしているつもりが原石がどんどん小さくなって光っている大切な部分まで削ってしまう場合が多々ありますが、石の大きさは変えないまま、全く違うステージに身を置いたり、比較するレイヤーを変えることで、原石のままでも光り輝くことができる機会があるものだなと感じました。

新年早々とても勉強になりました。

3月末まで開催しています。

ちなみに倉敷の大原美術館にも芹沢銈介室があり作品が多く収蔵されているそうなので近々観に行ってみたいと思います。

 

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